
この記事でわかること
- 制作会社と連絡が取れない理由の見分け方と、最初にやること
- 法人番号公表サイトと官報で、倒産や廃業を確かめる方法
- ドメインとサーバーとサイトのデータの名義の調べ方
- データを守って引き継ぐまでの6つの手順
- 自分で進められる範囲と、頼んだ方がよい範囲
ホームページの制作会社と連絡取れないときは、返事を待ち続けるより先に、ドメインとサーバーの名義と契約先を確かめ、サイトの文章と写真を手元に残すことから始めます。サイトが表示されているうちに動けば、引き継ぎの方法は多く残っています。この記事では、連絡が取れない理由の見分け方、倒産や廃業を公開の情報で確かめる方法、名義の調べ方、データを守って引き継ぐまでの6つの手順、自分で進められる範囲と頼んだ方がよい範囲を順に説明します。
ホームページの制作会社と連絡が取れない、よくある理由
連絡が取れないといっても、事情はいくつかに分かれます。担当者が辞めて引き継ぎがされていない、少人数の会社で手が回っていない、メールが迷惑メールに振り分けられている、といった理由なら、連絡の手段を変えるだけで返事が来ることもあります。

一方で、会社をたたんだ、倒産した、という場合は、返事を待つほど困ることが増えます。まずは、次の表で今の状態がどれに近いかを見当をつけてください。
| 理由 | 見えるサイン | 最初にやること |
|---|---|---|
| 担当者の退職や異動 | 担当者のメールだけ返事がない | 会社の代表のアドレスや電話に連絡する |
| 忙しくて手が回らない | 返事は遅いが、電話はつながる | 用件を1つに絞り、返事がほしい時期を書いて送る |
| メールが届いていない | 送ったメールに一切反応がない | 電話や問い合わせフォームなど、別の手段も使う |
| 廃業や倒産 | 電話が使われていない、会社のサイトが消えている | 次の章の方法で、会社の状態を調べる |
| 個人で請け負っている人の事情 | 個人の連絡先だけで、代わりの人がいない | 複数の手段で連絡し、記録を残す |
どの場合も、連絡した日時と手段、内容を記録しておいてください。あとで別の会社に引き継ぐときや、ドメインの手続きで事情を説明するときの材料になります。メールは送ったものを消さずに残し、電話はかけた日時と、つながったかどうかをメモしておけば十分です。
ホームページの制作会社が倒産したかを確かめる方法
返事がないまま時間がたつときは、会社がまだ活動しているかを公開の情報で確かめます。どれも無料で見られるものから始められます。
- 国税庁の法人番号公表サイトで会社名を検索し、商号や所在地の変更、登記記録の閉鎖が出ていないかを見る(検索の設定で、変更の履歴と、登記記録が閉鎖された法人を含めて探せます)
- 官報で、会社の名前で破産手続開始などの公告が出ていないかを見る
- 会社のホームページやSNSが消えていないか、止まっていないかを見る
- 電話番号が使われているか、登記されている住所に会社があるかを見る
出典: 国税庁「法人番号公表サイト」、国立印刷局「インターネット版官報」。インターネット版官報は直近90日分を無料で見られ、それより前のものは有料のサービスになります(国立印刷局の公式サイトで確認)。
記録に何も出ていなくても安心はできない
法人番号公表サイトに変更が出ていなくても、実際には営業を止めていることがあります。また、個人やフリーランスに頼んでいた場合は、こうした公的な記録では状態が分かりません。返事がない期間が長いときは、会社の状態が分からないままでも、次の章の名義の確認に進んでください。
倒産と分かったときの問い合わせ先
破産の手続きが始まると、会社の財産の管理や処分は、裁判所が選んだ破産管財人が行います。破産手続開始の公告には破産管財人の名前が載るので、ドメインやサイトのデータの扱いは管財人に問い合わせます。名義や契約の扱いは事情によって違うため、判断に迷うときは弁護士などの専門家に相談してください。
ドメインとサーバーとサイトのデータ、それぞれの名義を確かめる
制作会社と連絡が取れなくなって困るのは、ページそのものより、それを支えている契約です。ホームページは、住所にあたるドメイン、置き場所にあたるサーバー、中身にあたるサイトのデータの3つでできています。それぞれ誰の名義で、どこと契約しているかによって、自分で動ける範囲が変わります。
- ドメインの登録者WHOIS で、登録者が自分か制作会社かを見る
- ドメインの契約先どの会社でドメインを管理しているか
- サーバーの契約者請求書や引き落としの記録から、誰がどこと契約しているか
- サイトのデータ文章、写真、WordPress などのデータを取り出せるか
- ログイン情報管理画面やサーバーのIDとパスワードを受け取っているか
この5つが分かれば、自分で動ける範囲と、誰の協力が要るかの見当がつきます。
ドメインの登録者を WHOIS で調べる
ドメインの登録者は、WHOIS(フーイズ。ドメインの登録情報を調べる仕組み)で調べられます。.jp で終わるドメインなら、JPRS の WHOIS でドメイン名を入れて検索します。表示される内容はドメインの種類や公開のルールによって違い、登録者名が出ないこともあります(出典: JPRS「JPRS WHOIS」)。.com などのドメインでは、登録者の情報が伏せられていて、管理している会社の名前だけが分かる場合もあります。
サーバーの契約とログイン情報を確かめる
サーバーの契約は、請求書や領収書、口座の引き落とし、クレジットカードの明細から手がかりが見つかることがあります。自分の名前でサーバー会社と契約していれば、サーバー会社に直接問い合わせられます。制作会社の名義でまとめて契約している場合は、制作会社の支払いが止まるとサイトが表示されなくなるおそれがあります。
WordPress の管理画面やサーバーの管理画面のログイン情報を受け取っているかも確かめます。納品のときの書類やメールを、制作会社の名前で検索して探してみてください。
| 名義の状態 | 自分でできること | 気をつけること |
|---|---|---|
| ドメインもサーバーも自分の名義 | 契約先に直接問い合わせ、管理を別の会社に移せる | ログイン情報が分からなければ、契約先で本人確認をして再発行してもらう |
| ドメインは自分、サーバーは制作会社 | ドメインの管理画面に入れれば、別のサーバーに向け直して公開を続けられる | 中身のデータを取り出せないと、作り直しが要る |
| ドメインが制作会社の名義 | 自分だけでは名義を変えられない | 制作会社か管財人の協力が要る。新しいドメインに移る道も考える |
| 誰の名義か分からない | WHOIS と手元の書類で調べる | 調べた結果をまとめて、相談先に渡す |
ホームページの制作会社と連絡が取れないときの6つの手順
調べた結果をもとに、次の順で進めます。サイトが表示されているうちに手を付けるほど、選べる道が多く残ります。
- 1記録を残して連絡手段を変えてもう一度連絡し、記録を残す
- 2会社の状態を調べる法人番号公表サイトと官報で確かめる
- 3名義を確かめるドメイン、サーバー、ログイン情報
- 4データを手元に残すページの文章と写真を保存する
- 5引き渡しを求める認証コードとデータの引き渡しを文書で求める
- 6引き継ぎ先を決めるドメインの管理の移し替えとサイトの引っ越し
サイトが止まると取り戻せない文章や写真があるので、名義を確かめたら、引き渡しを求める前にデータを手元に残します。
- 連絡した記録をまとめ、電話、メール、問い合わせフォームなど手段を変えてもう一度連絡する
- 法人番号公表サイトと官報で、会社の状態を確かめる
- ドメイン、サーバー、ログイン情報の名義と契約先を確かめる
- 公開中のページの文章と写真を、自分の手元に保存する
- 返事がほしい期限を決めて、ドメインの認証コードとサイトのデータの引き渡しを文書で求める
- 引き継ぎ先を決め、ドメインの管理の移し替えとサイトの引っ越しを進める
サイトの文章と写真を手元に残す
サーバーの契約が切れると、ページは見られなくなります。その前に、各ページの文章をコピーして保存し、自分で用意した写真はもとのファイルを探しておきます。ページをPDFに印刷して残しておくと、作り直すときの見本になります。
管理画面に入るためのログイン情報を正式に受け取っている場合は、サーバーや WordPress のバックアップの機能で、データをまとめて取り出せることもあります。
受け取っていないパスワードで管理画面に入らない
渡されていないIDやパスワードを推測して入ったり、制作会社のアカウントを使ったりするのは避けてください。法律上の問題になるおそれがあります。入れない場合は、契約先への本人確認や、制作会社か管財人への引き渡しの依頼で進めます。
引き渡しは文書で求めて記録に残す
返事がないままでも、ドメインの認証コードやサイトのデータの引き渡しを求めたことを、記録に残しておきます。メールに加えて、内容証明郵便を使う方法もあります。内容証明は、いつ、どんな内容の文書を誰から誰あてに出したかを、日本郵便が証明するサービスです(出典: 日本郵便「内容証明」)。書き方や送るかどうかに迷う場合は、弁護士などに相談してください。
制作会社が倒産したホームページはどうなるか
制作会社が倒産しても、ホームページがすぐに消えるとは限りません。サーバーの料金が先の分まで払われていれば、しばらくは表示され続けます。ただし、料金の支払いが止まった時点で、サーバーもドメインも止まるおそれがあります。
- サーバーの契約が切れて、サイトが表示されなくなる
- ドメインの更新がされず、そのドメインのメールアドレスも使えなくなる
- 期限が切れたドメインを、ほかの人が取り直してしまう
- 管理画面のログイン情報が分からず、文章1つ直せない
ドメインを独自のメールアドレスにも使っている場合は、ページよりもメールが止まる影響の方が大きいことがあります。ドメインの仕組みや移管の基本はホームページのドメインの基本で説明しています。管理画面に入れず文章を直せない場合の考え方はホームページを更新できない原因と直し方にまとめています。
ドメインの管理を別の会社へ移す手続き
.jp のドメインの場合、管理している会社(指定事業者)を変えるには、登録者が変更元の指定事業者から認証コード(AuthCode)を受け取り、変更先の指定事業者に申し込みます。JPRS の案内では、手続きには数日程度かかる場合があるとされ、認証コードにも有効期限があります(出典: JPRS「ドメイン名の管理指定事業者の変更」)。
.com などのドメインでは、ICANN の案内で、管理している会社(レジストラ)は、求めに応じて5日以内に認証コードを渡すことになっています。登録者の情報を変えたあとは、60日間ほかの会社へ移せない仕組みがかかることもあります(出典: ICANN「Domain Name Registrant FAQs」)。
登録者が制作会社の名義になっていると、これらの手続きは登録者の側から進める必要があります。協力が得られないなら、新しいドメインを取ってサイトを移す方が早いこともあります。その場合は、名刺や看板、Googleビジネスプロフィールなどに載せたアドレスの書き換えも必要になります。
自分で進められる範囲と、頼んだ方がよい範囲
ここまでの作業のうち、記録を残す、会社の状態を調べる、ページを保存する、までは自分で進められます。ドメインの移し替えやサイトの引っ越しは、設定を1つ間違えるとサイトやメールが止まるので、慣れた人に頼む方が安全です。

| 作業 | 自分で進める目安 | 頼んだ方がよいとき |
|---|---|---|
| 連絡の記録と会社の状態の確認 | 進められる | 倒産していて、管財人とのやり取りが要るとき |
| ページの文章と写真の保存 | 進められる | ページの数が多いとき |
| ドメインの認証コードの請求 | 登録者が自分なら進められる | 名義が制作会社のままのとき |
| DNS(ドメインとサーバーを結び付ける設定)の変更 | 慣れていれば進められる | 独自ドメインのメールも使っているとき |
| WordPress のサイトの引っ越し | 慣れていないと難しい | 管理画面に入れない、データを取り出せないとき |
頼む先は、ほかの会社が作ったホームページの引き継ぎや保守を引き受けている会社やフリーランスです。ホームページの更新代行や保守を受け付けているか、引き継ぎの前に今のサイトを見て、何ができるかを説明してくれるかを確かめてください。データを取り出せず直せない部分が多い場合は、ホームページのリニューアルの依頼として作り直しを考えます。
相談の前にまとめておくこと
- ホームページのアドレス
- 制作会社の名前と、最後に連絡が取れた時期
- WHOIS で調べたドメインの登録者と管理している会社
- サーバーの請求書や引き落としの記録
- 受け取っているログイン情報の有無
- 契約書や見積書、納品のときの書類
- そのドメインのメールアドレスを使っているかどうか
次の依頼先で同じことを起こさないために決めておくこと
連絡が取れなくなって困るのは、名義とデータが制作会社の側にだけあるときです。次に頼むときは、契約の前に次のことを確かめておくと、相手に何かあっても自分で動けます。
契約の前に確かめること
- ドメインの登録者が自分(自社)の名義になっている
- サーバーの契約者と、支払いの方法が分かっている
- 管理画面のログイン情報を自分でも持っている
- 解約したときに、サイトのデータとドメインを渡してもらえるか、その費用はいくらかが契約書に書いてある
- 担当者がいなくなったときの連絡先が、会社の窓口として決まっている
- ドメインやSSLの期限の通知が、自分にも届く
引き継ぎの相談でつまずきやすいのは、ドメインの名義が制作会社のままで、契約書にも渡し方が書かれていない場合です。この2つが決まっていれば、相手と連絡が取れなくなっても、話はずっと進めやすくなります。
契約で先に決めておく項目はホームページ制作のトラブルと契約書に、依頼先の見極め方はホームページ制作会社の選び方にまとめています。個人に頼む場合の注意はホームページ制作をフリーランスに頼むときの注意点、毎月の管理にかかるお金はホームページの維持費、公開後に自分でやる範囲と任せる範囲はホームページの更新の方法を参考にしてください。
ホームページの制作会社と連絡が取れないと気づいたら、最初にやること
最後に、動く順番を短くまとめます。
- 連絡の記録を残し、手段を変えてもう一度連絡する
- 法人番号公表サイトと官報で、会社の状態を確かめる
- WHOIS と手元の書類で、ドメインとサーバーの名義を確かめる
- ページの文章と写真を手元に保存する
- 引き渡しを文書で求め、引き継ぎ先に相談する
サイトが表示されているうちなら、選べる方法は多く残っています。表示が止まってからでも、ドメインの名義が自分にあれば立て直す道はあります。慌てて新しいサイトを作る前に、まず名義を確かめてください。SSLの期限切れで警告が出ている場合は「保護されていない通信」と出る原因と直し方も合わせて確かめてください。
uparia の月額プラン(制作費0円・月額2,980円から・最低契約期間12か月)では、ドメインを最初からお客様の名義で取得し、24か月続けたらサイトのデータとドメインの管理をお渡しします。途中でやめてもサイトとドメインは持っていけます(移管料は式で決まります)。ほかの会社で作ったホームページの引き継ぎは、月額保守(月5,000円、最低契約期間なし)でお受けしています。ホームページの更新代行と保守からご相談ください。
よくある質問
制作会社と連絡が取れないまま、ホームページを放っておくとどうなりますか?
サーバーやドメインの料金が払われている間は表示が続きますが、支払いが止まるとサイトもメールも止まるおそれがあります。ドメインの期限が切れると、ほかの人に取り直されることもあります。表示されているうちに、名義の確認とページの保存を進めてください。
連絡が取れない制作会社に断らず、ほかの会社に修正を頼んでもよいですか?
管理画面のログイン情報を正式に受け取っていて、契約で禁止されていなければ、ほかの会社に修正を頼むことはできます。ただ、デザインや文章の権利の扱いは契約によって違います。契約書を確かめ、判断に迷うときは弁護士などの専門家に相談してください。
制作を頼んだ相手が個人(フリーランス)の場合も、同じ調べ方でよいですか?
個人の場合は、法人番号公表サイトや官報では状態が分からないことがほとんどです。連絡の記録を残しつつ、WHOIS と手元の書類でドメインとサーバーの名義を確かめることを先に進めてください。名義が自分にあれば、引き継ぎは進められます。
ドメインの名義が制作会社のままだと、取り戻せませんか?
登録者である制作会社の協力があれば、名義の変更や管理の移し替えはできます。倒産していれば、破産管財人が相手になります。協力が得られない場合は、新しいドメインを取ってサイトを移す方法もありますが、名刺や看板などに載せたアドレスの書き換えが要ります。
保守の料金を払い続けているのに連絡が取れません。支払いは止めるべきですか?
支払いを止めると、制作会社がまとめて契約しているサーバーやドメインまで止まるおそれがあります。先に名義と契約先を確かめ、引き継ぎ先と移す段取りが決まってから、解約や支払いの停止を考える方が安全です。解約の仕方は契約書に従ってください。






