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COLUMN

中小企業のAI業務効率化は何から始める?順番と向いている業務

AI・業務効率化公開日
中小企業のAI業務効率化を始めるため、付箋で仕事を書き出して並べる事務担当者のイラスト

この記事でわかること

  • 業務効率化とは何か、AIを使う前に整理しておくこと
  • 中小企業がAI業務効率化を始める順番
  • AIに向いている業務と向いていない業務の見分け方
  • 情報の扱いと社内ルールで先に決めておくこと
  • 表計算や自動化、システムとの使い分けと、相談する目安

中小企業がAIで業務効率化を始めるなら、ツールを選ぶ前に、毎日や毎月くり返している仕事を書き出し、手間のかかる作業を1つ選んで小さく試すことから始めます。いきなり全社で使おうとすると、何に役立ったのか分からないまま終わりがちです。この記事では、業務効率化とは何かを確かめたうえで、始める順番、AIに向いている業務と向いていない業務、個人情報や社内ルールの注意点、表計算や自動化との使い分けを、小さな会社の目線で説明します。効果の数字を約束する話ではなく、自分の会社で何から試すかを決めるための記事です。

業務効率化とは、仕事の手間とミスを減らすこと

業務効率化とは、同じ成果を出すためにかかる時間や手間、ミスを減らすことです。速く終わらせることだけが目的ではありません。手作業の写し間違いが減る、担当者がいなくても仕事が回る、お客さんへの返事が早くなる、といった変化も業務効率化に含まれます。

小さな会社では、1人が営業も経理も事務もこなしていることが多く、「忙しいのは分かっているが、何に時間を取られているのか分からない」という状態になりがちです。AIは業務効率化の道具の1つですが、どの仕事に使うかが決まっていないと、試しに触って終わってしまいます。

業務効率化の主なやり方と、その例
やり方中身小さな会社での例
やめる目的のはっきりしない作業をなくす誰も見ていない日報の様式を見直す
まとめるばらばらの作業や情報を1か所に集める顧客の情報を紙とメールと表計算から1つの表に集める
型にする毎回考えている作業に手順やひな形を作る見積もりや返信のひな形を作る
道具に任せる人がやっていた作業をソフトやAIに任せる集計を自動にする。文章の下書きをAIに作らせる

表の上から順に考えるのがコツです。やめられる作業をAIで速くしても意味はありませんし、情報がばらばらのままでは、AIに渡す材料もそろいません。AIに任せるのは、やめる・まとめる・型にするを考えたあとに残った作業です。

業務効率化と生産性の向上の違い

似た言葉に「生産性の向上」があります。生産性の向上は、使った時間やお金に対して、どれだけの成果を生んだかを高めることで、売上や付加価値を増やす取り組みも含みます。業務効率化はその手前にある、ムダな手間を減らす取り組みです。小さな会社では、まず業務効率化で時間を空け、その時間をお客さんへの対応や新しい仕事に回すことで、結果として生産性が上がる、という順番になることが多いです。

小さな会社が業務効率化で得られること

  • 社長や担当者が、事務作業より本業やお客さんへの対応に時間を使えるようになる
  • 写し間違いや送り忘れが減り、お客さんからの信頼を損ねにくくなる
  • 仕事の手順が見える形になり、担当者が休んでも回るようになる
  • 新しく入った人に仕事を教えるときの手間が減る

AIで業務効率化を始める前に、仕事を書き出す

最初の一歩は、ツールを開くことではなく、自分や社員がくり返している仕事を書き出すことです。1週間ほど、何にどれくらい時間を使ったかをメモするだけでも、手間のかかっている作業が見えてきます。

AIで業務効率化を始める前に、くり返している仕事をノートに書き出す町工場の社長のイラスト
書き出すのは、毎日や毎月くり返す仕事です。1回きりの仕事より、くり返す仕事の方が効率化の効果を積み重ねやすくなります。

書き出すときに残しておきたい4つのこと

  • 仕事の名前(例: 見積書の作成、問い合わせへの返信、月末の売上の集計)
  • どれくらいの頻度か(毎日、毎週、毎月)と、1回にかかる時間のおおよそ
  • 使っている道具と情報の置き場所(紙、メール、表計算、会計ソフトなど)
  • 困っていること(写し間違いが多い、担当者しかできない、急ぎで頼まれると止まる)
仕事の書き出しの例(架空の小さな工務店)
仕事頻度と道具困っていること
問い合わせへの返信毎日。メールと電話のメモ同じ説明を毎回書いている。返事が遅れる日がある
見積書の作成週に数件。表計算前の見積もりを探して写すのに時間がかかる
現場の写真の整理毎日。スマホとパソコンどの現場の写真か分からなくなる
月末の請求書毎月。表計算と会計ソフト同じ情報を2か所に入力している

書き出してみると、時間がかかっているのは、意外にも「探す」「写す」「確かめる」といった作業だったと気づくことがよくあります。こうした作業は、AIよりも、情報を1か所に集めたり、表計算の仕組みを整えたりする方が早く片づく場合もあります。

選ぶのは「くり返す」「手順が決まっている」「失敗しても直せる」仕事

書き出した中から最初に試す仕事を1つ選びます。選ぶ基準は、くり返し発生すること、手順がだいたい決まっていること、そして失敗してもすぐに気づいて直せることです。お客さんへの請求金額や契約の内容のように、間違えると影響が大きい仕事は、最初の練習台には向きません。

中小企業のAI業務効率化は小さく始める順番で進める

試す仕事が決まったら、次の順番で進めます。大きな投資や全社での導入は、小さく試してうまくいったことを確かめてからでも遅くありません。

図解・流れ中小企業がAIで業務効率化を進める5つの順番
  1. 11. 仕事を書き出すくり返している仕事と、かかっている時間を見える形にする
  2. 22. 試す仕事を1つ選ぶくり返す、手順が決まっている、失敗しても直せる仕事
  3. 33. 情報の扱いの決まりを作る入力してよい情報とだめな情報、使うサービスを決める
  4. 44. 少人数で試すやり方を記録し、前と後で何が変わったかを比べる
  5. 55. 手順にして広げるうまくいった使い方を手順書にし、ほかの人や仕事に広げる

いきなり全社で使うのではなく、1つの仕事で試して、決まりを作ってから広げます。決まりづくりを飛ばすと、情報の扱いで困ることがあります。

3つ目の「情報の扱いの決まり」は、後の章で詳しく説明します。AIのサービスに何を入力してよいかを決めないまま社員が使い始めると、お客さんの個人情報や取引先の情報を、意図せず外のサービスに渡してしまうおそれがあります。

4つ目で前と後を比べるときは、「1回にかかった時間」「やり直しの回数」「担当者以外でもできたか」のように、自分の会社で測れることを測ります。ほかの会社の効果の数字を当てはめても、自分の会社に合うかは分かりません。

試す期間と人数の決め方

試す期間は、その仕事が何回かくり返される長さにします。毎日の仕事なら2〜3週間、毎月の仕事なら2〜3か月が目安です。人数は、その仕事を普段している人と、仕組みに慣れていない人の2人くらいがちょうどよい組み合わせです。慣れていない人でも同じ結果が出せれば、手順として広げられる見込みが立ちます。

試している間は、うまくいったことだけでなく、つまずいたことや手直しが必要だったことも記録します。この記録が、5つ目の手順書のもとになります。

無料で試せる範囲から始めてよい

文章を作るAIの多くは、無料や少額の範囲で試せます。ただ、無料の範囲と有料の範囲で、入力した内容の扱いや使える機能が違うことがあります。試す前に、使うサービスの利用規約や設定を確かめてください。

AIの業務効率化に向いている業務、向いていない業務

AIと一口に言っても、文章を作る、要約する、画像を読み取る、データを分類するなど、得意なことはいろいろです。小さな会社でよく使われているのは、文章を作ったり整えたりするAIで、下書きや要約、言い換えを任せる使い方です。

AIに向いている業務と向いていない業務
区分業務の例理由
向いているメールや案内文の下書き、議事録の要約、文章の言い換え、よくある質問の答えの案たたき台があると速くなり、人が最後に確かめれば直せる
向いている書類の読み取りと仕分け、問い合わせ内容の分類、アンケートの自由回答のまとめ量が多く、手順がある程度決まっている
工夫すれば使える社内の手順書をもとにした質問への回答、商品説明の作成材料になる正しい情報をそろえれば使いやすくなる
向いていない請求金額や税額の最終判断、契約の内容の判断、法律や医療の判断間違いの影響が大きく、人の確認と責任が要る
向いていない最新の事実や数字をそのまま載せることもっともらしい誤りを出すことがあり、裏付けが要る

AIの答えは「下書き」として扱う

文章を作るAIは、事実と違う内容をもっともらしく書くことがあります。お客さんに送るメールや、ホームページに載せる文章をAIに作らせた場合も、送る前・載せる前に人が読み、事実や数字、言い回しを確かめる手順を必ず入れてください。AIに任せるのは下書きまで、送るかどうかの判断は人、と決めておくと安心です。

AIへの頼み方で結果が変わる

文章を作るAIは、頼み方が具体的なほど、使える下書きを返してくれます。「お礼のメールを書いて」だけでなく、次のような情報を添えると、直す手間が減ります。

  1. 誰に向けた文章か(初めて問い合わせてきた個人のお客さん、長く付き合いのある取引先など)
  2. 何のための文章か(見積もりの送付、日程の調整、お詫びなど)
  3. 入れてほしい事実(日程の候補、金額の有無、次にしてほしいこと)。個人情報は伏せて書く
  4. 長さと言葉づかい(短めに、丁寧に、専門用語を使わずに、など)
  5. 参考にしたい過去の文面があれば、その型

うまくいった頼み方は、社内で共有できる「頼み方のひな形」として残しておくと、誰が使っても同じくらいの下書きが出るようになります。これも業務効率化の型にする取り組みの1つです。

AIに任せる前に正しい材料をそろえる

よくある質問への答えや商品の説明文をAIに作らせるときは、元になる正しい情報がそろっているかで、出てくる文章の質が決まります。料金表が古いまま、手順が人によって違う、という状態では、AIはその食い違いをもっともらしくつないでしまいます。AIを使う前に、料金、手順、決まりごとを1か所にまとめ、どれが最新かをはっきりさせておくことが、遠回りに見えて近道です。

小さな会社でよく相談される使い方

制作や自動化の相談の中では、問い合わせへの返信の下書き、見積もりや提案書のたたき台、会議や面談の記録の要約、商品やサービスの説明文の作成、といった使い方がよく話題に上ります。どれも、最後に人が確かめれば直せる仕事です。業種ごとの具体的な使い方はAIで業務効率化した事例で、ChatGPTを仕事で使うときの始め方はChatGPTの業務での活用で説明しています。

AIだけに頼らない業務効率化の道具の選び方

業務効率化の道具はAIだけではありません。手間の原因が「同じ情報を何度も写している」「集計に時間がかかる」ことなら、表計算の関数や自動化の仕組みの方が、AIより確実で安く済むことがよくあります。仕事の中身に合わせて道具を選んでください。

業務効率化の道具と、向いている仕事
道具向いている仕事詳しい記事
表計算の関数と仕組み売上や在庫の集計、同じ形の表の作成スプレッドシートの自動化
Google Apps Script(GAS)表計算とメールやカレンダーの連携、決まった時刻の処理Google Apps Scriptでできること
表計算での顧客管理お客さんの情報と対応の記録を1か所に集めるスプレッドシートでの顧客管理
請求書の作成サービスや仕組み毎月の請求書の作成と送付請求書の自動化
予約の仕組み電話での予約受付、日程の調整予約システムの自作と導入
文章を作るAI下書き、要約、言い換え、分類ChatGPTの業務での活用

たとえば「毎月、問い合わせの一覧を表計算にまとめ、件数を数えて社長に報告している」という仕事なら、フォームの回答を自動で表にためる、件数を関数で数える、決まった日に自動でメールを送る、という組み合わせで、AIを使わずに手間を減らせます。そのうえで、問い合わせの中身を分類する部分だけAIに任せる、という使い方もあります。

お店や教室のように、予約、会計、在庫、顧客の管理など現場の仕事が多い業種では、どこからデジタルにするかの順番も大切です。店舗の仕事をデジタルにしていく順番は店舗のDXで説明しています。

表計算で続けるか、システムにするかの目安

表計算は手軽に始められる反面、使う人やデータが増えると、誰かが式を壊してしまう、同時に編集して食い違う、といった困りごとが出てきます。複数の人が同じ情報を毎日さわる、スマホから入力したい、お客さんにも画面を使ってもらいたい、といった段階になったら、小さな業務アプリやシステムに移すことを考える時期です。最初から大きなシステムを作るより、表計算で手順を固めてから移す方が、作るものがはっきりして費用も読みやすくなります。

情報の扱いと社内ルールを先に決める

AIを仕事で使うときにいちばん気をつけたいのは、何を入力するかです。外部のAIサービスに入力した内容が、サービスの側でどう扱われるかは、サービスや契約の種類、設定によって違います。社員が思い思いに使い始める前に、会社としての決まりを作っておきます。

AI業務効率化のために、情報の扱いの社内ルールを話し合う中小企業の社長と事務責任者のイラスト
決まりは長い文書でなくてかまいません。入力してよい情報とだめな情報、使うサービス、確認の手順が1枚にまとまっていれば始められます。

個人情報を入力するときの注意

個人情報保護委員会は、事業者が生成AIサービスに個人情報を含む内容を入力する場合、利用目的の範囲内であることを十分に確かめるよう注意を呼びかけています。また、本人の同意なく個人データを入力し、それが応答の出力以外の目的で扱われると法律に違反するおそれがあるため、入力した個人データが機械学習に使われないことなどを十分に確かめるよう求めています。(出典: 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」)

取引先の資料や社内の数字も同じように扱う

気をつけたいのは個人情報だけではありません。取引先から預かった図面や資料、まだ公開していない商品の情報、社内の売上や給与の数字も、外部のサービスに入力するかどうかを慎重に決めます。取引先との契約で、預かった情報の扱いが決められていることもあります。迷う情報は入力しない、名前や数字を伏せてから入力する、という決まりにしておくと、判断に迷う場面が減ります。

作ったものの権利と、AIを使う側の心がまえ

AIで作った文章や画像を広告やホームページに使うときは、既存の作品に似ていないかにも気をつけます。文化庁は、AIと著作権の関係について考え方を整理した資料を公表しています。(出典: 文化庁「AIと著作権について」)また、総務省と経済産業省は、AIを開発する側、提供する側、使う側の役割ごとに取り組むことを示した「AI事業者ガイドライン」を公表しています。使う側の会社にとっても、決まりを作るときの参考になります。(出典: 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン」)ガイドラインは改訂されることがあるので、最新版は公式サイトで確かめてください。

社内ルールに入れておきたいこと

  • 使ってよいAIサービスと、使うときのアカウント(個人のアカウントで仕事の情報を扱わない)
  • 入力してはいけない情報(お客さんの個人情報、取引先から預かった資料、社外秘の数字など)
  • 入力した内容が学習に使われない設定や契約になっているかの確認
  • AIが作った文章や画像は、人が確かめてから外に出すこと
  • 外に出すものに事実や数字を書くときは、元の資料で裏付けを取ること
  • 困ったときに誰に相談するか

社内での使い方の決めごとの例はChatGPTの業務での活用でも紹介しています。決まりは一度作って終わりではなく、使い方が増えたり、サービスの規約が変わったりしたら見直します。

業務効率化がうまくいかないときによくあるつまずき

業務効率化の取り組みは、始めることより続けることの方が難しいものです。小さな会社でよく見かけるつまずきと、その避け方をまとめます。

業務効率化でよくあるつまずきと避け方
つまずき起きること避け方
道具から選ぶ便利そうなツールを入れたが、使う場面がなく誰も開かない先に仕事を書き出し、困っている作業から道具を選ぶ
一度に広げる全員が同時に使い始めて、やり方がばらばらになる少人数で試し、手順書にしてから広げる
担当者だけが分かる仕組みを作った人が休むと止まる手順書と、仕組みの置き場所を残す
前と後を比べない役に立ったのか分からず、続けるかどうか決められない始める前に、かかっている時間を記録しておく
確認を省くAIの誤りがそのままお客さんに届く外に出す前に人が読む手順を決めておく

とくに多いのが、仕組みを作った人にしか分からない状態です。表計算の複雑な関数や自動化の仕組みは、作った本人が異動したり辞めたりすると、誰も直せなくなります。手順書と、どこに何があるかのメモを残しておくだけでも、困る場面はぐっと減ります。

また、業務効率化で浮いた時間を何に使うかを決めておくと、取り組みが続きやすくなります。お客さんへの対応に回す、新しいサービスの準備に使う、残業を減らす、といった目的があると、社員にとっても自分ごとになります。

社員に使ってもらうための工夫

  • 最初は社長や責任者が自分で使ってみせ、どんな仕事が楽になったかを話す
  • 使い方の説明は長い資料より、1つの仕事の手順を画面の写真付きで1枚にまとめる
  • うまくいった頼み方や使い方を、社内で共有する場所を作る
  • 使わない人を責めず、困っていることを聞いて手順を直す

新しい道具は、使う人が「前より楽になった」と感じられないと定着しません。最初に選ぶ仕事を、社員がいちばん面倒に感じている作業にすると、協力を得やすくなります。

業務効率化の成果を自分の会社の物差しで確かめる

業務効率化の成果は、ほかの会社の数字ではなく、自分の会社の前と後で比べます。比べ方を始める前に決めておかないと、なんとなく楽になった気がする、で終わってしまいます。

図解・くり返し業務効率化の成果を確かめて見直すくり返し
  1. 01記録する始める前に、1回にかかる時間とやり直しの回数を残す
  2. 02試す決めた仕事で、決めたやり方を一定の期間続ける
  3. 03比べる前と後で、時間、ミス、担当者以外でもできたかを比べる
  4. 04直すうまくいかない手順を直し、手順書を更新する

01 に戻って、くり返す

一度で完成させようとせず、試して、比べて、直して、手順書を更新するくり返しで、少しずつ仕事に合った形にしていきます。

  • 時間: 1回の作業にかかった時間、月にかかった合計の時間
  • ミス: 写し間違いや送り間違い、やり直しの回数
  • 人: 担当者以外でもできるようになったか、休みの日に止まらなくなったか
  • お客さん: 返事までの時間、問い合わせへの対応の漏れ

時間の記録は、細かく測らなくてもかまいません。作業を始めた時刻と終えた時刻をメモする、1週間に何回その作業をしたかを数える、といった簡単なやり方で十分です。始める前と同じやり方で記録することだけは守ってください。やり方が変わると、前と後を比べられなくなります。

数字にしにくいものは、担当者に「前より楽になったか」「困ったことはないか」を聞くだけでもかまいません。うまくいかなかった場合も、やめる判断ができたこと自体が収穫です。無理に続けず、次の仕事で試します。

かかった費用も一緒に記録する

AIサービスの月額料金や、仕組みづくりにかかった費用も、浮いた時間と並べて記録しておきます。時間は減ったが費用が見合わない、ということもあるため、続けるかどうかを判断する材料になります。

自分で進める範囲と、相談した方がよい範囲

文章を作るAIを使った下書きや要約、表計算の簡単な関数は、自分たちで十分に始められます。一方で、複数のサービスをつなぐ自動化や、社内の情報を使って答えるAIの仕組みは、作るのにも直すのにも専門の知識が要ります。自分で進める場合と相談する場合を比べておきます。

図解・比較AI業務効率化を自分で進める場合と相談する場合

自分で進める

  • 文章を作るAIでの下書き、要約、言い換え
  • 表計算の関数や、決まった形の表づくり
  • 社内ルールの作成と、少人数での試用
  • 費用は小さいが、調べる時間と試す時間が要る

相談する

  • フォーム、表計算、メール、会計など複数のサービスをつなぐ自動化
  • 社内の手順書や商品情報をもとに答えるAIの仕組み
  • 担当者が変わっても直せる仕様書と手順書づくり
  • 作業の分の費用がかかるが、作る時間と直す手間を任せられる

まず自分で小さく試し、つなぐ仕組みや社内の情報を使う仕組みが必要になった段階で相談する、という進め方が無理のない順番です。

相談した方がよいのは、仕組みを作る人が社内にいない、作ったあとに直せる人がいない、お客さんの情報を扱うので安全に作りたい、といった場合です。相談するときは、この記事の最初で書き出した仕事の一覧と、困っていること、使っている道具を持っていくと、何を自動にできるかの話が早く進みます。

相談先を選ぶときに確かめたいこと

  • 仕事の中身を聞いたうえで、AIを使わない方法も含めて提案してくれるか
  • 見積もりに作業の内訳と納期が書かれているか
  • 作った仕組みの仕様書や手順書を残してもらえるか
  • お客さんの情報をどう扱うか、どのサービスを使うかを説明してくれるか
  • 作ったあとに不具合が出たとき、誰がどう直すかが決まっているか

とくに大切なのは、作ったあとのことです。自動化の仕組みは、つないでいるサービスの仕様が変わると動かなくなることがあります。直す人がいない仕組みは、止まったときにかえって手間を増やします。

小さな会社のAI活用と業務の自動化をどう進めるか、作るものと進め方はAI導入支援と業務自動化で紹介しています。料金は作るものによって変わるため、内容をうかがってからのお見積りになります。

AIと業務効率化をさらに詳しく知りたいときの記事一覧

AIと業務効率化について、テーマごとに別の記事で詳しく説明しています。書き出した仕事に近いものから読んでみてください。

  • AIで業務効率化した事例:小さな会社で使えるAIの具体的な使い方
  • ChatGPTの業務での活用:仕事での使い方と、社内で使うときの決めごと
  • スプレッドシートの自動化:関数、GAS、AIで手作業を減らす方法
  • Google Apps Scriptでできること:GASでできることの具体例と限界
  • スプレッドシートでの顧客管理:顧客管理の始め方と、システムに移す目安
  • 請求書の自動化:請求書の作成を自動にする方法
  • 予約システムの自作と導入:予約の受付を仕組みにする方法と費用の考え方
  • 店舗のDX:店舗の仕事をデジタルにする順番

業務の自動化や小さな業務アプリの開発は、uparia でもご相談を受けています。何を自動にできるか分からない段階でも、AI導入支援と業務自動化で進め方を確かめていただけます。

よくある質問

社員が数人の会社でも、AIで業務効率化はできますか?

できます。人数が少ない会社ほど、1人が多くの仕事を受け持っているため、くり返しの作業が少し減るだけでも影響が出やすくなります。大きな仕組みを入れる必要はなく、文章の下書きや集計など、1つの仕事から試すのが始めやすい方法です。

AIを使うのに、専門の知識やプログラミングは必要ですか?

文章を作るAIで下書きや要約をするだけなら、プログラミングの知識は要りません。普段の言葉で頼めば使えます。複数のサービスをつないで自動で動かす仕組みや、社内の情報を使って答える仕組みを作る場合は、専門の知識が要るので、相談して進めることを考えてください。

無料のAIサービスを仕事で使っても大丈夫ですか?

使うこと自体はできますが、入力した内容がサービスの改善に使われる設定になっている場合があります。お客さんの個人情報や取引先の資料、社外秘の情報は入力しないと決め、利用規約と設定を確かめてから使ってください。仕事で本格的に使うなら、法人向けの契約や設定も検討します。

AIで業務効率化すると、社員の仕事がなくなりませんか?

小さな会社で多いのは、仕事がなくなるのではなく、写す・探す・まとめるといった作業が減り、お客さんへの対応や考える仕事に時間を回せるようになる形です。浮いた時間を何に使うかを先に決めて社員と共有しておくと、取り組みへの不安も減ります。

業務効率化に使える補助金はありますか?

ITツールの導入などを支援する補助金が公募されることがあります。ただ、対象になる経費や条件、申請の時期は公募ごとに違い、変わることもあります。使いたい場合は、公式サイトで最新の公募要領を確かめ、商工会や商工会議所などの支援機関に相談してください。

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